嬉泉

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嬉泉の想

【保育】3歳児グループ:子どもの学びたいこと

ある時、砂場の砂を型でかたどり、木の枝を刺して遊んでいた3歳児に、保育者は様々な型を用意し、その型でどのような形ができるか見本を作って見せていました。しかし、その子は、その保育者が作ったものを壊して興味を示しませんでした。そこで、他の保育者が、様々な木の枝を用意し、その子が砂で作った形と同じものに、その枝を刺し、見せたのです。

すると、その子は、自分で木の枝を探し始め、集まった木の枝をいろいろな角度から刺しては、新しく刺せるものを作ったり、木の枝を折って大きさを調整したりと、楽しそうに遊びを発展させていました。

この事例を通して言えることは、保育所はあくまで子どもの学びの場であり、保育者の考えが優先される場所ではないことを物語っているということです。

この事例の子どもは、型を使って様々な形を作ることに関心を寄せているのではなく、かたどった砂に木の枝を刺す等して、アレンジを楽しんでいるのです。

今、子どもが学びたいこと・学ぼうとしていること、さらには子どもの「やりたい」を的確に把握し、その気持ちや思いに沿って、いかに子どもが創造性や主体性を発揮できるかを考え、導くための働きかけを行うことができるか。それが子どもの主体性を育てるうえで大切であり、保育者が主体となって提示したものが子どもにウケるかどうかは重要ではないのです。

保育所は保育者と子どもが生活を共にする場所なのですが、いかに保育者が子どもの主体性を育てるための黒子になれるのかが重要なのです。