嬉泉

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嬉泉の想

【保育】5歳児グループ:子どもたちの気づきを促す保育者の導き

卒園式の出し物を子ども達が決めることになりました。子ども達と話し合うと、昨年度に卒園児の劇の発表を見ていたこともあり、「劇をやりたい」と全会一致でやることが決まりました。そこで、どのようなストーリーの劇にするか話し合うと『妖怪ウオッチ』『アナと雪の女王』等とその当時ブームになっている物語を口々にあげていました。

しかし、それらを知らない子どももいたので、皆が知っている物語にするよう担任が伝えると、桃太郎となりました。さらに配役等を話し合い様々なことを決めていきました。

実際に練習が始まると、2名の子どもが「自分は人前に立つのが苦手かも」と、決めた役をやらないと言い始めました。練習は気になるようで見学という形で参加するも、何日も何もしないといったスタンスで見学していました。ある時、担任がその様子に困り果てSV(スーパーバイザー)に相談しました。

SVが「劇は役者だけで成り立っているものではない。裏方があって成り立っている。どんな役割でも良いのではないか」と伝えると、担任はそのことを子ども達に伝えました。参加していなかった子どもは「じゃあ、その役(裏方)をやる」と言って練習に戻りました。その後は、劇に必要な効果のあれこれを自分が担当すると言って、自分の受け持ちを楽しんでいました。

近年の保育所や幼稚園での『お遊戯会』や『劇』を考えると、全員が主人公として参加できる内容に職員がアレンジすることが一般的になっているようです。

この事例でも、保育士の既存概念では裏方も役割の一つとした認識に気づけずにいたようですが、SVによりそのことに気づき、裏方も一つの役割として、子ども達が参加するにあたっての役割の選択を広げることができました。

そして子どもにとって「これだったら、自分もできる」「やってみよう」といった前向きな気持ちに切り替わりました。子ども達は自分なりの参加の仕方を見つけることができたことから、主体性を持って意欲的に参加することができたのです。